窓ガラスの特徴

ペア(複層)ガラスって防音性能はあるの?

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ペアガラスは、2枚の板ガラスを組み合わせていることから、全体的には厚みがあるような作りとなっています。そのため、ペアガラスを見た多くの人は
「もしかすると防音性能が高いのではないか?」
という期待を持ってしまうでしょう。

しかし実際には、「そんな効果ない」「よけいうるさい」といったマイナスイメージの声ばかりが目立ちます。

そこで今回は、ペアガラスに防音性は本当にあるのか?あるとしたらどの程度の防音性能なのか?…など、ペアガラスの防音性能にまつわるさまざまな疑問について、解説していきます。

ペアガラスとはどのようなガラスなの?

ペアガラスとは、真ん中に空気の層を作るように2枚の板ガラスを組み合わせて作られているもので、複層ガラスとも呼ばれています。一般的な家庭用の窓などに使われている1枚もののガラスを板ガラスと呼んでいるので、単純にこれが2枚並んでいるものをイメージすればわかりやすいでしょう。ちなみに、3枚の板ガラスを組み合わせたものはトリプルガラスと呼ばれることがあります。

ペアガラスの中の空気層には、乾燥した空気が封入されているのが一般的ですが、特殊なものになると乾燥空気の代わりにアルゴンガス、真空などが採用されています。これによって、室外の熱を室内に伝えず、また、室内の熱が室外に漏れていくのを防いでいます。

このように、遮熱・断熱という点で非常に優れた能力を持っているのが、ペア(複層)ガラスなのです。

普通のガラスに比べて防音効果はある?

遮熱・断熱という点においては定評のあるペアガラスですが、防音性能については諸説あります。

防音性はないという説

インターネット上には、「ペアガラスに防音性能はない」とする話も見られます。多くの話が、ペアガラスに交換しようとしている人の質問に対してある程度知識を持った人(あるいは見聞きした人)が回答するといった形のものですが、実はあまり正しくない回答がなされているものも多いのです。

たとえば音域・周波数による防音効果の出かたの違いです。音には、高い音と低い音、周波数の大きい・小さいがあり、響き方はまったく異なります。そして、窓ガラス全般に言えるのは「周波数によっては、ガラスの種類ごとに得手不得手がある」ということです。

「ペアガラスは防音効果がない」という答えはあながち間違ってはいません。しかし、間違ってもいます。音域、周波数によってはペアガラスに防音効果が認められる場合とそうでない場合があるからです。

防音効果が認められない具体的なケースには「人の話し声」があります。人の話し声の周波数は250~630ヘルツの間で、家庭用の一般的な3ミリ厚さの窓ガラスがもっとも苦手とする音域とされ、そのため防音効果が一番低くなります。
もっともポピュラーなタイプのペアガラスには、この3ミリ厚さの板ガラスが使われていますので複数の板ガラスを組み合わせてあるペアガラスといえども、太刀打ちできないわけです。
逆に、周波数が極端に大きいケース(1000ヘルツ~)と極端に小さいケース(~160ヘルツ)では、この音域・周波数に対して強いペアガラスが強力な防音効果を発揮します。

ごく一般的なペアガラスに、「特殊機能としての防音性」が付加されているかというと、されていないものが多いでしょう。
本来、ペアガラスは結露対策として生まれたものですので、遮熱・断熱を主たる機能としているのであり、そこに防音という機能は含まれていません。
ただ、メーカーによっては防音性を持ったペアガラスを生産していることもありますので、絶対にないとも言い切れないのが現状です。

普通のガラスと比べてどうなのか

これまでの話からもわかるように、ペアガラスは防音を目的として生まれたものではないため、一般的なものでは防音効果を実感できるケースは多くありません。ただ、音の周波数によっては防音機能が付加されていないにもかかわらず、防音効果が実感できる場合もあり、一概に言えるものではないというのが現状です。

というのも、周波数によっては「一般的な1枚ものの板ガラスよりも防音性能が低い」と感じる場合や「ガラスが2枚あるにふさわしい防音性」と感じる場合、それぞれあるためです。
つまり、ペアガラスと普通のガラスを比べたとき、「音の周波数や音域によっては防音効果が得られる場合もあるし、得られない場合もある」としか言えないのです。

防音効果が高い窓ガラスは何?

防音効果が高い窓ガラスは「合わせガラス」でしょう。合わせガラスもペアガラス同様に複数枚のガラスを組み合わせて作ってありますが、ペアガラスのような空気層を持たない構造となっています。ちょうど、自動車のフロントガラスのような作りで、ガラスとガラスの間に特殊な膜を挟み、複数のガラス同士をぴったりと接着しています。

合わせガラスの特性

合わせガラスは複数枚のガラスを特殊な膜で密着させているため、一般的なガラスよりも強度があり、用途に合わせた特殊な機能を持ったものが多く存在します。

防音性能

ガラスを密着させるのに用いる特殊な膜を防音効果のある膜にすることで、防音性能を持たせた防音ガラスになります。

飛散防止・防犯

ガラスが割れた際の飛散を防ぐ効果があります。また、それゆえに防犯にも大きく役立っています。
自動車のフロントガラスが割れにくいのもこの性能が力を発揮しているためです。

紫外線対策

多くの合わせガラスは、紫外線を防ぐ効果を併せ持っています。やはり自動車ガラスでもこの性能が役立っています。

ほかにも、二重窓にする、厚みのあるガラスに交換する、厚みのあるペアガラスに交換する…など、さまざまな方法があります。

参照:合わせガラス(防犯ガラス)の交換費用はいくら?価格や交換方法は?

ガラス以外に防音効果を高める方法はないの?

窓ガラスから入ってくる騒音への対策は、まずはその騒音の種類が何なのかを知ることから始めなくてはなりません。例えば人の話し声が根源なのであれば、その周波数をカバーできる窓ガラスに変更すれば解決します。しかし、窓から入ってくる騒音は、それだけではありません。道路を走る車の音、電車の通る音、動物の声、お祭りのお囃子、子供の騒ぐ声、灯油や物干し竿の販売の車…さまざまです。騒音のもとがさまざまなのと同様に、その周波数もさまざまです。

先に挙げたように、周波数は実に多彩で、窓ガラスは種類によって得手不得手があるのです。すべてをカバーできる窓は存在しないため、何かをあきらめる、または複数の手段によって対策をする必要があるのです。

防音カーテン

最近は、カーテンにも防音機能を持たせたものが出回っています。効果のほどは不明ですが、通販などでも特に人気があるので、一定の効果は得られているのでしょう。

隙間テープ

窓ガラスを交換しても、隙間からの騒音は防げません。窓の隙間から入ってくる騒音は意外にも多く、盲点となっている場合が多いのです。
100円ショップなどに売っている隙間テープを上手に利用して、隙間からの騒音を防ぐと一定の効果が得られます。

防音ボード

窓に設置するだけの防音ボードなるものがあります。着脱も簡単で、二重窓と同様の効果が得られると評判です。

防音シート

窓ガラスに貼り付けるタイプの防音シートですが、安価なりの効果、何もしないよりはマシ…といった程度のものと割り切ってみましょう。

防音対策に使えるグッズなどが、ホームセンターをはじめインターネット上にもいろいろ出ています。しかし、これらをむやみに購入しても、結局は騒音の原因が何なのかを突き止めていなければまったく効果が得られない場合もあります。

さいごに

窓からの騒音対策には、ガラスを変更するよりも二重窓にするのがもっとも効果的であるとされています。ですが、予算的なもの・賃貸住宅の場合は勝手に加工できない点などがネックとなり、苦しんでいる人が多いのも現状です。

そもそも防音効果はないとされるペアガラスでも、2枚の厚みが異なるペアガラスや、ガラスの厚み自体があるペアガラスなら、今回紹介した3ミリの一般的なものよりは防音効果がありますので、過大な期待をかけない程度になら交換を検討されても良いと言えるでしょう。

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